筋膜リリースという言葉は数年前からテレビでも取り上げられています。「ためしてガッテン」や「金スマ」でご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
見た感じではただ筋を伸ばしていてストレッチと同じように見えますが、筋膜リリースとストレッチは実は別物です。
その根本的な違いと正しいやり方についてまとてみました。
筋膜リリースとストレッチの根本的な違い
筋膜リリースとストレッチは同じように聞こえますが、根本的な違いがあります。まずはその違いをご説明します。
筋膜リリースとは?
アプローチする対象はその名のとおり「筋膜」で、縮まってしまった筋肉にも伸びきってしまった筋肉にも有効な運動です。
筋膜は筋肉を包む膜で、ボディスーツのように体全体に張り巡らされいるため「第二の骨格」とも呼ばれています。
この筋膜に柔軟性を失うなどの機能障害が起きると、その部分だけが引き攣りを起こしたり窮屈な状態になるのでなく、離れた部分にまで影響を及ぼして痛みを誘発することがあります。
また、筋膜の柔軟性を失うことは筋肉の柔軟性を損なうことになり、凝りや痛みの原因になることも。
それらを解消するために、筋膜に柔軟性を戻してあげる目的で行なうのが筋膜リリースです。
ストレッチとは?
アプローチの対象となるのは「個別の筋肉」となり、縮まってしまった筋肉に対して行なうべき運動となります。
筋肉を伸ばす運動ですので、縮んでしまっている筋肉にのみであり、伸びてしまっている筋肉には逆効果となります。
筋膜リリースとは?その方法
筋膜リリースは筋膜の捻じれや癒着によって縮んだ線維を伸ばして、健康に障害を与えるような姿勢や可動障害を改善するために行なう運動のことを言います。
肩凝りの改善に効果的な筋膜リリースは「平泳ぎほぐし」と呼ばれる方法です。
- 椅子に座って両腕を方の高さで前方に伸ばし、両方の肩甲骨を前方へ押し出すような姿勢を約20秒間キープします。
- 次に肘を肩の高さのまま後方へ引き、その姿勢を約20秒間キープします。
- 肘を体より少し前に戻して、肩甲骨を起こすような感じで両手を上げた状態で20秒間キープします。
※1~3を通して、腰を反らさず背筋をまっすぐ伸ばした姿勢で行なってください。
また専用の道具を使って簡単に筋膜リリースすることもできます。このトリガーポイントのグリッドフォームローラーならテレビを見ながらでもコロコロとマッサージするだけのお手軽さです。
ストレッチとは?その方法
ストレッチは筋肉の柔軟性の向上と関節の可動域を広げるために行なう運動のことを言います。
肩凝りの改善に効果的なストレッチは「肩甲骨はがしストレッチ」と呼ばれる運動です。
※肩凝りの原因は肩甲骨の周りの凝り固まった筋肉にもあるため、肩甲骨自体もスムーズに動かすことができない状態になっています。
- 肩を回して準備体操(前後5回ずつ)
- 両肘を横に広げて胸の高さで曲げ、その状態で両腕を真上に上げ、そして下ろします。
- 両肘を横に広げて胸の高さで曲げたまま、上体を左右に捻ります。
- 両腕を後ろ手で組んで、出来る限り腕を上へ上げ、その状態で上体を左右に捻ります。(3~5セット行ないます)
- 整理体操のために2と同じ肩回しを前後5回ずつ行なって終了。
(※2&3を1セットとして3~5セット行ないます)
まとめ
筋膜リリースとストレッチには、アプローチの対象とそれぞれの目的に違いがあります。
筋膜リリースは筋肉を包む筋膜の柔軟性を戻してくれるため、縮んでしまった筋肉にも伸びきってしまった筋肉にも有効な運動です。
ストレッチは筋肉を伸ばす運動であるため、縮んで凝り固まってしまった筋肉にのみ有効で、伸びきってしまった筋肉には逆効果となるため注意が必要です。
肩凝りの原因には、筋肉自体の凝り固まりだけでなく、柔軟性を失った筋膜による影響も考えられますので、ストレッチで改善しきれない場合は筋膜リリースも試してみましょう。